実務のロシア語 II ― スピーチ・数量データ・会議・ボーダレスコミュニケーション

実務のロシア語 II ― スピーチ・数量データ・会議・ボーダレスコミュニケーション の詳細

花見弁当もまだ十分に消化できていない読者も多いと思うが、本書冒頭で筆者が自称する「松花堂弁当兼五目飯のサンドイッチ風寄せ鍋のチャンポン」に、さらに冷やし中華をつけたくらいのロシア語学習本が梅雨明けも待たずにこの世に出てしまった。第1巻は、エスコート、電話アポ、交渉、それに付随して日本を説明するための基礎用語が中心であったが、この第2巻はスピーチ（第1部）、数量データ表現（第2部）、会議用語（第3部）など、より腰をすえて取り組むべき重厚な内容となっている。筆者は「個々の狭い分野には立ち入らず」と前置きしているが、第4部の外交、国際関係、安全保障、ソ連解体、資源エネルギーなどのトピック別参考テキスト兼用語集はかなり専門的な内容まで踏み込んでおり、ロシア語の時事ネタを読む・話すときにはこれだけ覚えれば十分ではないかと思えるほどだ。個人的経験から、特に「痒いところに手が届く」と思ったのは第2部の「数量データによる説明・説得」である。中上級者でも見逃しがちな、ラクをするための数量表現や微妙な使い分けが難しい文法の要諦が解説されている。また、ロシア語で算数をするための線・基本図形、加減乗除なども触れられているが、数字を使う理系分野の会議や交渉ではかなりの頻度で使うのでラッキーと思った読者は私だけではないだろう。なお、最初から順番に読んでいくと五目飯当たりで満腹になってしまうので、自分の関心に応じてぺらぺらめくって面白いと思ったところをつまみ食いするという読み方をお勧めする。数年かけてじっくり咀嚼したい一品だ。